Ishiyama
Nobuo
Watershed management for biodiversity conservation
in changing landscapes and climates
Habitat Restoration
人間の手によって衰退させてきた水生生物の生息地は、同様に私たち人間の手によって以前の姿に再生することもできるはずです。私たちの持つ生態系に関する知識は、完全なものではありません。そのため、より効果的な生態系の再生を行うには、これまでに行ってきた再生事業の成功や失敗から、再生手法に関する新たな知見を常に得ていく必要があるでしょう。こうした現状を踏まえ、私は河川や湿地で行われた生息地再生事業の科学的な評価を行っています。
Changing Landscapes
人間活動による土地開発は、生態系間や生息地間での生物・物質の移動を改変することで、生物に深刻な影響を与えています。増加し続ける分断化景観の中で、私たちはどのように生物を保全していけばよいのでしょうか?私は、分断化景観における効果的な生物の保全策や土地利用の在り方を明らかにするため、生息地ネットワークの構造や空間スケールが水生生物に対して個体群・群集レベルでどのような影響を与えているかを調べています。また複数の分類群を対象に、陸域から水域への物質の流れ(土砂、有機物、無機物)が水生生物に与える影響について調べることで、効果的な流域管理策について検証しています。
Recent works:
Ishiyama et al. (2021) "Geology-dependent impacts of forest conversion"
Kawajiri et al. (2021) "Farmland expansion & freshwater mussels"
Ishiyama et al. (2018) "River fragmentation & freshwater fishes"
Ishiyama et al. (2015) "Farmland expansion & Genetic diversity"
Changing Climates
気候変動に対する効果的な適応策の立案に向け、水温や流量レジームの空間的な不均質性の評価・予測に関する研究を行っています。これにより、生物多様性保全上、水域ネットワーク内で気候変動への頑強性が高い地域の抽出や、頑強性を向上するための流域管理策の検証を行っています。
また近年は、気候変動に由来する水害が多発しその対策が求められています。「防災と生物多様性保全との両立」を目指し、グリーンインフラに着目した研究(効果的な森林管理の検討、遊水地の生物多様性保全機能の評価)も進めています。
Recent works:
Ishiyama et al. (2023) "Geo-climate interactions in thermal riverscape"
Molinos et al (2022) "Timescale mediates influences of landscape factors"
Suzuki et al. (2022) "Forecasting flow and thermal regimes in snowy regions"
Ishiyama et al. (2021) "Ecological importance of flood-control basins"
Geological diversity
日本列島は多くの大陸・海洋プレートに囲まれ、世界的に見ても極めて地下景観(地質)の空間的異質性が高い地域です。前述した土地利用や気候変動の影響を評価する上で、その基底にある地質の影響を無視することは、不完全な保全策の立案につながる可能性があります。そこで近年は、地質の独立影響に加え、土地利用や気候変動との相互作用を考慮した流域管理に着目し、研究を進めています。
Recent works:
Ishiyama et al. (2023) "Geo-climate interactions in thermal riverscape"
Ishiyama et al. (2021) "Geology-dependent impacts of forest conversion"
Told et al. (2022) "Geology-ecosystem function relationship "
Nakajima et al. (2021) "Gene flows in heterogeneous geoscapes"